にじいろ奇跡
3つ位作ってつまらなくなったため宿題を広げる。


勉強する時間は、全てに対して逃げられる。それに成績も上がるから、一石二鳥という奴だ。


こうでもしないと、学校でも先生に目を付けられる。


両親という頼れる存在も居ない私が学校に行けるのは、


それなりに勉強をして所謂真面目な模範的生徒を演じて、


さらに優等生として入学をして、授業料免除の権限を取ることが出来たからだ。


「はぁ・・・」


勉強の合間に一息。
ため息を付いても、話し掛けてくれる相手が居ない部屋は寂しい。


「・・・まぁ、慣れたけど」


私の独り言がやけに大きく聞こえた。



施設を出て、もうそろそろ2年になる。


他の施設の子は里子として、出ていき、きっと温かな家庭に恵まれているんだろうなぁ。


思い出すと懐かしい。


施設では高校までは預かってくれる。私は進路の関係で今の高校に入学を決めたのだが


施設からの通学はちょっと厳しかった為に、春休みの間に施設を出て、マンションで一人暮らしをする事に決めたのだ。





―――プルプル・・・




電話が鳴った。私の友達はたいてい、携帯で連絡を取る。


家の電話が鳴るのは本当に珍しい事だ。


「誰からだろ・・・珍しい」


知らない番号からだった。


普段なら知らない電話番号は無視をするのだけど、何故かこの電話には出なければならない。


私はそう感じていた。


気が付いた時には既に、受話器を握っていたのだ。


「・・・もしもし黒月ですが・・・」
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