にじいろ奇跡
晴れ渡る青空。
信号待ちをしている私は、都会のビルの隙間から決して綺麗とは言えない、小さな空を見上げた。


これがどこぞの田舎町だったら、澄んで広々とした綺麗な青空を見ることが出来ただろう・・・。


青空を見ていると、心が安らぐ。同時に、私がいかに小さな小さな存在かというのを認識させた。


自分の思考に入り込んでいたら、信号は赤から青に変わっていた。


周りの人たちが私を邪魔者のように、避けながら怪訝そうに見てくる。


私も先ほどの考えを打ち消して、通い慣れた道を歩く。


雨上がりのアスファルトは、当然雨水でまだ濡れていた。


所々に出来た水溜まりには、青空が映えてるのを見て、思わず笑ってしまった。


こんな都会にも、綺麗さは残っていた。


誰かが、水溜まりに足をいれてしまった。水溜まりの青空が歪む。

残念な気持ちもしたけれど、行かなくてはいけない。


彼女が待っている、何時ものトコに。



私が歩く反対側の青空には、


都会には似付かわしくない大きくて、とても綺麗な虹が映えていたのを、私は知らなかった。
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