にじいろ奇跡
「ルリ、ごめんね。これからはちゃんと傍にいるから。郁人の彼女だとしても、ルリは私の親友だから」


ルリを安心させる為に、笑う。大丈夫。ちゃんと笑えてる。


「サヤありがとう!!大好き!!」


ルリが抱きついてきた!!衝動で後ろに数歩動く。


「ちょッ!!ここ図書室!!」

「・・・あ」


やっぱり私はルリの泣き顔に弱かった。今回もまた笑って許してしまい


ルリはまた私に花が咲くような綺麗な微笑みを見せてくれた。


ルリは今思い出したかのように、チロリと舌を出し肩を竦めた。


いつものルリだ・・・。良かった。私も心から笑えた。


ルリの為に、私は郁人への想いを心の奥底に閉まった。決して思い出さないように。


それでルリが幸せなら、私は良い。私の幸せはルリの幸せだ。親友の彼氏をとるほど私は鬼ではない。


初恋は叶わないとよく言われるが、本当だと私は思う。


でも良いと思う。郁人の想いが結ばれなくても、私はルリの傍で郁人を見守っていられるのだから。


「見守っていられるだけでも、幸せなものかな」


ぽつりと呟いた言葉は思わず口から出ていたらしい。


「?ん?何か言った?」

「なんでも無いよ」


ルリにバレ無いように、私は愛想笑いで誤魔化した。こういう時はルリのド天然に感謝する。


何があってもド天然だから、気付かないんだ。
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