にじいろ奇跡
―――――――
「置いていくなんて、酷いな沙夜」
一足先に教室に着いた私は、自分の席から豪雨ともとれるような雨を見ていた。
郁人は走ったのか、少し息があがってる。頭からびしょ濡れだ。私も人の事言えないけど。
頭を豪快に拭いている郁人をちらりと見て、また窓に視線を戻す。
「お前まだびしょ濡れじゃないか!?ほら、拭けよ。風邪引くだろうが」
軽く目を見開いた郁人はタオルを取り出し私の頭に乗せた。
「あ、ありがとう」
郁人の匂いがする。郁人に抱き締められたような錯覚を覚え、不思議と心が温かく感じた。
小さくお礼を述べると、郁人は友達の方に進みながら、後ろ向きで手をあげて答えてくれた。
取り敢えず、忠告されたしタオルまでくれたのだから放置していた髪でも拭こう。
私は乱暴にのせられたタオルで髪の毛の水分を拭き取っていく。
「傷んでる髪だから、どうでも良かったんだけれどな・・・」
女の子らしかぬ発言だというのは、承知のうえだ。
私にとって、身なりや外見がどうのこうのと言う前に、それにかかるお金が無い。
髪の毛なんて必要最低限のケアしかしていないし、ネイルアートや化粧という贅沢は、したくても出来ない。
今は化粧もネイルアートもしたいとは思えないのだけれども。
雨は心なしか弱くなった気がする。
「置いていくなんて、酷いな沙夜」
一足先に教室に着いた私は、自分の席から豪雨ともとれるような雨を見ていた。
郁人は走ったのか、少し息があがってる。頭からびしょ濡れだ。私も人の事言えないけど。
頭を豪快に拭いている郁人をちらりと見て、また窓に視線を戻す。
「お前まだびしょ濡れじゃないか!?ほら、拭けよ。風邪引くだろうが」
軽く目を見開いた郁人はタオルを取り出し私の頭に乗せた。
「あ、ありがとう」
郁人の匂いがする。郁人に抱き締められたような錯覚を覚え、不思議と心が温かく感じた。
小さくお礼を述べると、郁人は友達の方に進みながら、後ろ向きで手をあげて答えてくれた。
取り敢えず、忠告されたしタオルまでくれたのだから放置していた髪でも拭こう。
私は乱暴にのせられたタオルで髪の毛の水分を拭き取っていく。
「傷んでる髪だから、どうでも良かったんだけれどな・・・」
女の子らしかぬ発言だというのは、承知のうえだ。
私にとって、身なりや外見がどうのこうのと言う前に、それにかかるお金が無い。
髪の毛なんて必要最低限のケアしかしていないし、ネイルアートや化粧という贅沢は、したくても出来ない。
今は化粧もネイルアートもしたいとは思えないのだけれども。
雨は心なしか弱くなった気がする。