にじいろ奇跡
「本当に思ってるの?」

「3分の1は」

「―――・・・」


ため息が出そうになったけど、堪えることでやり過ごす。


この気分屋で何処か掴み所の無い、ヘラヘラしている優等生に何を言っても無駄というのは、既に学習済みだ。


「今馬鹿にしたこと考えただろ。黒月優等生よ」

「・・・考えてない。中條優等生、私は優等生でもない」

「嫌味か学年主席よ。つかその間は何だ!!」

「・・・。」


私は中條の言葉をスルーする。


「沙夜も優も嫌味だ。お前等二人学年主席じゃねぇか!!」


今まで傍観していた郁人が突っ込む。


中條も校内順位で幾つか主席をとってる。


大体が中條と私両方で主席となるのだ。20位以内がやっとの郁人には、かなりの嫌味だろう。


「他のヤツが努力しないからだろう」

「――・・・」

「――・・・」


この中條の言葉ほど、嫌みは無いだろう。


きっと今私と郁人の心は同じ気持ちだろう。


最高の嫌味だ。と。


「郁人・・・」

「沙夜も流石に思うよな・・・」

「貴方が言ったら最高の嫌味よ」

「おまえが言ったら最高の嫌味だな」


私と郁人は同時に同じような事を中條に言った


「うん!!・・・まぁなんだ。悪かったよ。これからは発言に気を付けよう」


中條は咳払いをして謝った。


あの発言は天然だからこそなのか!?嫌味だって気付かなかったのだろうか!?


真面目な優等生の一人は以外にも天然が有るのだと初めて知った。
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