にじいろ奇跡
「結局、雨上がらなかったな」


未だに降り続ける空を見上げて、未練がましく郁人が言う。


「・・・なんであんたがいるの?」


私はルリの元に行く道を歩いてる。郁人も当然かのように、私の隣を歩く。


「瑠璃のトコだろ?俺も行く」

「だったら、1人で行けば良いじゃない」

「ま、良いじゃん。一緒に居ても減るものじゃないし」


(私が嫌だ・・・)


郁人と居ることが嫌いなわけではない。


寧ろもっと一緒に居たい・・・。


私が心の奥底に封印した、郁人を思う気持ちが募り、苦しくなる。



―――郁人は私を選んではくれなかった…―――




―――郁人は私のもの―――




―――ルリなんか早く死んでしまえばいい―――





「――ッ!!」


嫌な気持ちばかりが浮かんでくる。




ルリなんか・・・




なんて思わない。
ルリは私の唯一の親友だもの!!




消えろ・・・消えろ・・・消えてしまえ!!



そんな事、私は望んでなんかいない!!




ルリの幸せが私の幸せ・・・




郁人が私を好きになって、ルリが私達を優しく見守ってくれないか・・・。




そんな事を願う私は愚か者でしょうか―――・・・。
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