にじいろ奇跡
あんな事言うつもり無かったに・・・今回は私が悪いな・・・


「ごめん・・・」


私は素直に郁人に謝った。


「ほら、行くぞ。」

「――――――・・・。」


郁人は気にしてないみたいだ。黙って郁人の隣に並んだ。


沈黙が二人を包む。でも、それは決して居心地が悪いものでは無く、とても穏やかなものだった。




このまま、ずっと穏やかな時間が続けば良い。


ずっと郁人と一緒に居たい・・・。


「ルリ、喜ぶんじゃない?」


普段は部活が忙しく、ルリとの時間がなかなかとれない郁人。


郁人と会えれば、ルリも喜ぶだろう。


「あぁ・・・」


素っ気ない返事だ。でも私は知ってる。郁人はルリを求めて、ルリも郁人を求めていることを。


その証拠に郁人の顔は酷く穏やかな笑みを浮かべている。


「・・・」


無邪気に話しかけてくる郁人に、私の心はズキンと痛む。


郁人にバレないように唇をキツく噛んだ。
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