にじいろ奇跡
「サヤ!!・・・郁人!!」


ルリの病室に入ると、今日は幾分か顔色が良いルリがいた。


郁人を視界に移すと、一瞬驚きながら笑顔を浮かべた。


「久しぶり。今日の体調どうだ?」

「今日はね、凄く体調良いの。雨なのが勿体ない位」

「晴れてたら、散歩出来たなぁ・・・俺も雨だからって部活は休み」

「でも・・・雨で良かった。郁人に会えたんだもん」

「俺もルリに会えて嬉しいよ」


郁人の指が、ルリの頬に触れる。ルリが笑う。完全に二人きりの世界に入り込んでる・・・。


入り口付近の壁に背を預け、二人の様子を傍観している私は、邪魔者でしか無い。


(ルリは元気なんだし、顔見せたから帰ろう・・・)


あの二人と居るのは、ちょっと辛い。私は音を立てないように、病室の扉を開き、廊下に出た。


ルリも郁人も私が出て行った事など気付いて居ないらしく、笑い声が廊下に響いている。


(今日は来るんじゃ無かったな・・・)
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