にじいろ奇跡
厄日だ。


雨はまた朝より酷くなっていた。


傘をさしても強風のおかげで傘は壊れそうになるし、びしょ濡れだから意味が無い。


一応さしてはいるが、頭からびしょ濡れ。


この雨で外に出ようという愚か者は私しか居ないらしく、何時もより人は少ない。


ある人達は喫茶店等に入って雨宿りをしてる。今私が行けばびしょ濡れなのだ。きっと嫌な顔される。


(本当についてない・・・)


私は小さく舌打ちをして、家までの距離を足早に歩く。


気分は物凄く悪かった。病室での郁人とルリを思い出すと、凄く腹が立つ。


ルリに嫉妬している事は自覚してる。


「でも・・・」





泣きたくなる。




―――苦しい――――






――――――苦しい――――




恋をするとこんなにも苦しく、切なくなるものだろうか・・・。


「どうして・・・私じゃないの・・・」


(どうしてルリなの・・・)


涙が溢れる。元々びしょ濡れの私が涙を流しても、気づかれる事は無い。少しだけ雨に感謝した。
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