にじいろ奇跡
「確かに、俺には関係ない事だよ」


そうだ。と心の中で中條の言葉に同意する。「だが」と、彼は続ける。


「だけどな・・・普段滅多に感情をむき出しにしない黒月が泣くなんて、余程の事だろ」

「そ、それは・・・」


彼には隠せなかったようだ。私は反論する事が出来なくて、中條から目を反らした。


さっきとは違い、居心地の悪い沈黙が流れた。


「俺には言えないか?」

「えっ!?」


先程の鋭い言い方から、落胆したような悲しい響きを含んだ低い声だ。


不思議に思って私は恐る恐る中條の顔を見た。中條は悲しそうな顔で私を見つめる。


「沙夜にとって俺は、そんなに頼りないか・・・?」

(!?い、今なんて――!?)
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