にじいろ奇跡
先程の恐怖心は消え、驚いて中條を見つめた。


「な、中ッ」

「優」

「・・・す、すぐる」


中條と彼を呼ぼうとしたら、彼は切なそうに私を見つめている。


「沙夜・・・」


聞き違い、では無かった様だ。優はまた私の名前を呼んで、今度は真剣な目でこちらを見ている。


しかし、彼は私を見つめているだけで何も話さない。


いれたてのコーヒーは既に冷えきって、湯気も出ていない。時計の進む音がするだけ。


太陽は先程確認したよりも動いてる様で、優を見つめている私は、眩しく感じられた。


「・・・」

「沙夜・・・俺はお前が好きだ」

「・・・は?」


内容を理解した途端に、私は驚いた。驚いて出た言葉は何とも間が抜けたもの・・・。


(今・・・優が好きって・・・)


私の頭は、パンク状態だ。優は至って冷静だ。目が本気だと伝えてる。


「す・・・優・・・私はッ」

「返事は今すぐでなくて良いから。ただ・・・好きな惚れた女が1人泣いてるなら、俺は見捨てられない」


優はその名前の通り優しい。疑い深いその性格から、冷たい付き合いずらい等と印象付けられるが、

本当は凄く優しい性格をしている。


優の事は嫌いじゃない。寧ろ好きな方だが、あくまでも友達としてであって、恋愛として見たことがない。


「・・・辛かったら、何時でも言えよ」


私の頭を優しく撫でて優は、私の家を出た。


「じゃ、話はそれだけだから。明日学校で」


太陽に向かって歩く優の背中が頼もしかった。


私はその場で優の姿が見えなくなるまで立ちすくんでいた。


優の気持ちに・・・私は答える事が出来ない。


(優、ありがとう。それから・・・ごめんね)
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