にじいろ奇跡
12章
午前中の授業もスムーズに進んだ



1時限目の授業には間に合ったが、廊下で疾走していたのをナルちゃん先生にバレて、郁人はナルちゃん先生から拳骨をもらっていた。


皆が笑う中、私は教室の隅に追いやられた空席を見つめていた。そこはルリの席だ。


このクラスの人たちは『野沢瑠璃』というクラスメートの存在を忘れているのではないか。と時々思う。


私はルリが羨ましい。嫉妬もしているけど、それ以前に親友だ。




――――――


ルリがこの学校に入って初めての入院の時。沢山のクラスメートがルリのお見舞いに来ていた。


「わぁ!」


ルリはお見舞いの数にかなり驚いて、丁寧にお礼を言った。


両親がわざわざ学校まで来て私達に頭を下げてきたんだ。


ルリは人気者だったから。皆ルリを心配した。私は羨ましかった。


ルリは何もしなくても、友達が増えたのに、私はルリの傍に居るから、友達が出来たようなものだ。


天然なルリは悪気は無かったのだろうけど。


「サヤは私の1番の友達だよ!!だぁい好き!!」


ルリの笑顔は眩しかった。私はルリのあの笑顔が好きだった。


私を1番と言ってくれたことが嬉しかった。


「私もルリが大好き!!」


それと同時にルリが羨ましくもあった。
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