にじいろ奇跡
たくさんの友達をもつルリが、すごく羨ましかったのだ。


やがて、入院の期間が長くなると、皆はルリのお見舞いに来なくなった。


『高校2年で受験生になる頃だ。』と先生達から口がすっぱくなるほど言われたからだろうか・・・。


とにかく、ルリの元にお見舞いに行くのは、郁人と私、優位だった。


「良いの。みんな忙しいんだと思うし、仕方ないよ」


そう言って笑うルリは寂しそうだった。胸がキュンとなる。


(良いわけ無いじゃん。ルリ寂しそうだよ・・・)


そう感じて切なくなったのは、今も覚えている。




ルリだって、なんでも持っている訳では無いんだ。そう思うようになったのは、ごく最近だ。



――――――




「・・・や!・・・さ・・・!・・・沙夜!」

「!?」


いつの間にか私は、ルリの事を思い、自分の思考にどっぷり浸かっていたようだ。


時計を見れば、その時間はほんの数十分のようだ。


私の名前を呼んでも、無反応だった私を心配に思ったのだろう、郁人の顔は心配そうな表情を顕にしていた。


「ごめん。ルリの事を考えてて・・・」


そう笑ったのだが、私は上手く笑えているだろうか・・・?


「あぁ・・・そっか」


郁人の笑顔も渇いていた。私はそんな郁人を見て、胸が痛んだ。




ワタシダッテ・・・ワタシダッテ


イクトガスキナノニ・・・



「ッ!!」

(仕方ないよ・・・ルリには勝てない。何時も私の欲しいのはルリのもの・・・。郁人もルリも幸せなんだから・・・)

「野沢・・・何時来れるかな・・・」


今まで黙っていた優が、ボソッと呟いた。
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