にじいろ奇跡
私は優と別れて、清々しい気持ちで、ルリのいる病院へ向った。


道中は太陽の暑さも、照り返すアスファルトの熱気も気にならなかった。


言いたいことが言えて、本当にすっきりとした気持ちで歩いていたのだ。


病院に着くと、見慣れた人物が目の前を歩いていた。


「あ。おばさん!!おじさん!!」


私の声に気付いた2人は、同時に私の方を向く。


「沙夜ちゃん。こんにちは」

「こんにちは!!」

「今日も瑠璃に会いにかい?ありがとう」

「いいえ。私も好きでルリに会いに行ってるので。ご一緒して構いませんか?」


私がそう話すと、2人は凄く笑顔になった。おばさんもおじさんも凄く笑顔が似合う。


「あぁ。良いとも。一緒に行こうか」

「フフ。沙夜ちゃんとなら、大歓迎よ」

「それは、ありがとうございます!」


私は2人の傍に近づいて、一緒にルリのお見舞いに行くことにした。


「瑠璃ちゃんは沙夜ちゃんが来ると、凄く嬉しそうなのよ」

「本当ですか?良かった。迷惑では無いみたいですね」

「全く迷惑では無いよ。こちらも助かっているんだから」

「ルリ、まだ外泊も出来そうに無いですか?」


退院はまだ出来そうに無いが、体の調子が良ければ病院の外で過ごす事を外泊という。


「・・・もう少しで退院出来そうなのよ。だから・・・」

「本当ですか!?学校行ける様になるんだ!!」


私は無邪気にルリの退院の話を聞いて喜んでいた。だから、気付いて無かったんだ。


おばさんが悲しそうにしていた事、おじさんが困惑気味にしていた事を。
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