にじいろ奇跡
ルリの病室は相変わらず、物淋しかった。


「ルリ!!」

「サヤ〜!!ママにパパも!!」


今日は本当に調子が良いのか、本を読んでいた。


ルリの顔は、青白い顔から健康そうな顔になっていた。


声も張りがあって、点滴と痛々しいチューブさえ無ければ本当に健康体に見える。


「今日の調子は良さそうだね?」

「うん!!だから窓も少しだけ開けて、本を読んでいたんだ。体が凄く軽いんだよ!」


今日のルリは少しだけはしゃぎ過ぎの様に思えたけど、元気なら良いや。


私は対して気にも止めなかった。


「そっか!」

「それに、もうちょっとで退院出来るんだよ!」

「さっき聞いたよ。早く学校一緒に行けると良いね!!」

「うん!!」


そうやって頷くルリは本当に輝いていた。


「私と席隣だしね。ルリが来るの楽しみに待ってるから」

「本当凄く楽しみ!!早く学校行きたい!!郁人今日は居ないの?」

「今日はね――――」


私は今朝の事以外の事を全て話した。


「ククッ!!本当!?サヤが眠りこけるなんて、珍しいよね?」

「だってねぇ・・・眠かったんだよ。私だってそういう日があるよ」

(明日の朝職員室だった・・・)

「優等生って言われても人間だしね」


ルリが納得したように首を縦に動かしながら話す。


「瑠璃ちゃん、今日ケーキ焼いたのよ。沙夜ちゃんも一緒に食べましょう」


話が一段落した時、おばさんが話に入ってきた。おばさんが大事に持っていた箱の正体はおばさん特製のケーキだったのか。


「わーい!!ママお手製のケーキ!!サヤも食べよう?」

「良いんですか?」

「良いのよ。大丈夫。沙夜ちゃんの分もちゃんと有るわ」

「じゃぁ、頂きます」


綺麗に切り分けてあるケーキを一つ頂戴する。程よい甘さのケーキは凄く綺麗で食べるのが勿体ない位だ。
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