にじいろ奇跡
「大丈夫だ・・・」


私の手を握ってくれる郁人の手が酷く温かく、安心する事が出来た。


「うん・・・郁人ごめんね」

(弱くてごめんね)

「気にすんな。大丈夫だから」


郁人は笑って返してくれる。郁人の方が何十倍も辛い筈なのに、微塵も感じさせない。男の子だからだろうか?


車に乗っている時間が酷く長く感じた。窓から私にとって馴染み深い景色が見えてくる。


「着いたぞ。黒月、西村。先に行け。俺は車を置いてくる」

「分かりました。沙夜着いたぞ。車降りるぞ」

「うんッ」


先生は病院の玄関に車を止めてくれた。私が降りて、郁人が降りる。車が去った頃小走りに受付へ向かう。


「あの・・・」


受付には顔馴染みの看護師が居た。


「野沢瑠璃ちゃんの所?病室に居るから、早く行きなさい。手続きしてあげるから」

「ありがとうございます!!」


軽くお辞儀をして走って病室に向かう。学校のように全力疾走は出来ない。他にも患者さんが居るから。


郁人が隣で小走りになりながら聞いてきた。


「知り合い?」

「顔馴染みの看護師。よくルリと話してたよ」

「そっか・・・」


ルリの病室までの距離が遠く感じた。


(ルリッ!!ルリッルリッ!!ルリぃぃッ!!)





もう奪わないで・・・






私から大切な人を







奪わないでぇぇぇ!!!!!!
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