にじいろ奇跡

強くなりたい。現実を受けとめられる様に。


強くありたい。もう私の最高の理解者は居ないのだから…。
甘えないようにしないと。


私はいつの間にか、眠りについていた様だった。

「おはよう、沙夜ちゃん。良く寝られた？」

そう言うおばさんはｸﾏが出来て目も充血している。睡眠不足だろうと一目で分かった。

「はい。ちょっとごちゃごちゃ考えてしまいましたが、眠れましたよ。」

「良かった。朝食用意してるの。早く降りてらっしゃい。」

おばさんはそう笑うと先に降りて行った。ドアを閉めて、一応鍵を締める。


私はﾊﾝｶﾞｰにかけている服を着て頭を梳かす。綺麗になったところで、下へご飯を食べに降りて行く。

「おはようございます。」

「おはよう。沙夜ちゃん。」

「おじさんおはようございます。」

珈琲を片手に新聞を開いているおじさん。ｷｯﾁﾝではおばさんが動いている。

「沙夜ちゃん、座って待とう。おばさんには、ああやって動いていたほうが良いからね。」

悲しみを忘れる為の行為か。私はおばさんにも挨拶をしておじさんの前に座った。

「沙夜ちゃん、瑠璃の事はさぞかしｼｮｯｸだったろう。無理はしなくていいからな。」

「はい。お気遣い痛み入ります。ありがとうございます。ｼｮｯｸだけれども、時間が解決してくれますから。それにﾒｿﾒｿ泣くなんて、ルリには悪いし、私ではありませんから。悲しいけれど、私は大丈夫です。」

おじさんが言わんとしている事が分かった私は先に自分から話した。

「そうか。良かったよ。沙夜ちゃんは強いな。」

おじさんは私を撫でてくれた。


酷く心地よくて、私は気持ちがだいぶ楽になった。