にじいろ奇跡
日曜日。
おじさんとおばさんに呼ばれて、私はまた通い慣れた道を進んで野沢家を訪れた。


外装からは『本当に裕福で幸せです』という雰囲気を醸し出しているが


中に入ればそんな雰囲気も即座に打ち消しされる。空気が重いのだ。


家政婦の牧野さんが毎日綺麗に掃除をして、空気の入れ替えもしているのだが


ルリが亡くなってからはどんなに空気を入れ替えても、重く感じるのだ。


「いらっしゃいませ。沙夜さん。少々お待ちください。旦那様と奥様をお呼び致しますので」


牧野さんは私を笑顔で出迎えてくれた。リビングまで案内してくれると、紅茶をいれてくれた。


野沢家の紅茶は凄く美味しい。今度いれ方を教わろう。


紅茶を堪能していたら、おばさんとおじさんがやって来た。


一瞬にして重たい空気が、急に軽くなった。


「こんにちは。おじさん、おばさん」


紅茶を机に置いて、ソファーから立ち上がってお辞儀をする。


「やぁ。沙夜ちゃんよく来たね。さぁ、座って有り難う」


そう言いながら、おじさんとおばさんもソファーに腰掛けた。


私も失礼します。と言いながら気持ちの良いソファーに再び腰掛けた。


「それで、お話とは・・・?」

「うん。牧野さんも座って下さい。家の家政婦として聞いてほしい」


牧野さんも静かにソファーに座ったのを見ると、おじさんとおばさんは顔を見合わせて頷いた。


(牧野さんにも必要ってどんな話なんだろう・・・?)


牧野さんも知らないらしく、不思議そうな顔をしながらも、黙っていた。


「実はだね。僕達は瑠璃がまだ生きている頃から、瑠璃と3人で相談していた事が有るんだ。沙夜ちゃんについてね」
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