にじいろ奇跡
街に戻る頃には、夕方になっていた。


明日は学校を休んで病院の先生と市役所に行く事にした。


「早ければ早いほうが良い」


らしい。


一旦家に帰って牧野さんを迎えに行く。今日はお祝いを兼ねて外食だ。


「何処に行くの?」


外食だなんて初めての事だから、ワクワクする。


「今日は無難に回転寿司にしようか」

「私お寿司大好き!!」


私が喜ぶと、お父さんもお母さんも笑顔になる。それが1番嬉しかった。


「沢山食べて良いのよ」

「いただきます!!」


順番を待って席に座る。お寿司も凄く美味しかった。


外食なんて贅沢は全然出来なかった私にとって、正に幸せだった。


「もう食べないの?」


元々少食の私は、5皿でお腹がいっぱいになった。


お母さんとお父さんや牧野さんは10皿位食べている。


「うん。お腹がいっぱい。ちょっと苦しいかな」


苦笑いで私は答えた。私にしては凄く食べた方だと思う。


「沙夜ちゃんは少食なのね」

「よく言われる」


車の中での会話も、満腹感があるのか、凄く怠くなった。瞼が重い。


今日は沢山はしゃいだから疲れたのだろう。私はいつの間にか意識が無くなってしまった。


(凄く幸せだ・・・夢みたい)


こんな毎日が続くなんて、私には想像がつかなかった。でも、夢では無いのは分かっている。


今日は良い夢が見れそうだ。
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