DOLL†HOUSE
たくさんの自転車が並ぶ中から、明るいオレンジ色の自転車を探し出した翔平は後ろのほうに腰掛け、来るであろう人物を待った。
何気なく空を見上げると、ちょうど飛行機が飛んでおり、漫画のように綺麗に飛行機雲が出来ていた。
青い空にくっきりと浮かび上がった飛行機雲を、ただじっと眺めていた翔平。
<タッタッ
「ん?」
待っていた人が来たと思った翔平は、荷台から立ち上がり辺りを見渡した。
しかし辺りに人の姿は無く、気配すらしない。
「?足音・・・したきがしたがきのせいか?」
小首を傾げて翔平は一人そう呟いた。
<タッタッタッ
「!!またかよ・・・」
座りかけた腰をあげて翔平はまた見渡した。
今度は先程よりもはっきりと聞こえ、少し険しい表情で辺りを見渡した。
しかし、やはり何処にも人影は見当たらない。
風が木々をざわめかせて、空気がどこか張り詰めたような、じめっとしたようになった。
「なんだこれ・・・今1月だよな・・・」
1月後半の季節だが、まだまだ寒い。
ましてや朝方はよけいに寒い筈だ。
なのにこの空気に翔平は違和感を感じた。
−コ ワ イ
「ッ!!!」
ゾクッと一気に身体で感じた翔平は自身を抱きしめた。