DOLL†HOUSE
そして翔平はふと思った。
(震えが止まってる・・・)
それと同時に空気も先程までとは違い、普段道理の空気となっていた。
「翔ちゃん・・・?」
急に黙り込んだ翔平を不思議そうに見つめる叉奈の声にハッとなった翔平。
「(さっきのはきのせいだろ)
で、叉奈鍵は?」
「ちゃんと持ってきたよ、ハイッ!」
ポケットからチョコレートのストラップがついたチャリ鍵を取り出した叉奈。
それを受け取ると翔平は明るいオレンジ色の自転車に鍵をセットした。
先程のメールは、叉奈に自転車を貸してほしく、鍵を持ってこいというメールだった。
「サンキュー叉奈。もう戻っていいぞ」
自転車を動かし跨がった翔平。
「よし!レッツゴー!!」
・・・の後ろの荷台に乗った叉奈。
翔平は事の事態に無言に。
「・・・いやおまえはくんな」
「翔ちゃんとのせっかくのデートなのに、授業なんか受けれません!」
「誰がデートっつった」
キャーッと浮かれている叉奈を振り向いて怒る翔平。
「だいたい、これは私の自転車だよ?貸してあげるんだから、持ち主言うことは聞きなさい」
叉奈の言葉に頬を引き攣らせた翔平は、やがてハァーッとため息をつきながらガシガシと頭をかいた。
そして籠からヘルメットを取り代わりにかばんを入れて叉奈にヘルメットを渡した。
「連れてってやるから、ガキはメットかぶれ」
「ガキじゃないもん!
この前AカップからBカップになったもん!」
「胸の問題じゃねーよ。つーか男の前でんな話をすんな」
呆れながら翔平はいうと自転車をこぎだした。