DOLL†HOUSE
街から離れた山奥とは言っても、半日かかるって言うほどではない。
自転車を使えば1時間かかるかかからないかだし、車なら30分ぐらいで着く場所だ。
屋敷の周りにはパトカーが数台止まっており、黄色いテープで屋敷に近付くなと言わんばかりに張ってあった。
「?翔ちゃんなんでこんなところに?なんか事件あった?」
荷台からおりた叉奈は、自転車を止めている翔平に聞いた。
しかし翔平はそれをまるでいないかのように綺麗に無視して歩き出した。
ムーッと頬を不機嫌そうに膨らますと叉奈は翔平の後を追った。
屋敷はそれなりに綺麗でそれなりにボロボロ。
通常より少し強く蹴ったりすれば煉瓦作りの壁はかけたりするだろう、というくらいはぼろい。
しかし見た目はまあ綺麗だからそうはあまり思わない。
だからそれなりに、だ。
だから、誰もいないこんな屋敷の隅にしゃがみ込み顔を青ざめているこの男は、思わなかった。
こんなに簡単に煉瓦が一塊取れるなんて。
「ヤバイ、ヤバすぎる・・・これが七海警部に知れたりしたら「とっおやっまく〜ん?「・・・」
バッ!!
「し、翔平!!!??」
遠山 清四郎(トオヤマセイシロウ)
24歳 刑事
背後から肩を叩かれて勢いよく振り向いた清四郎の目に映ったのはニヤニヤと笑みを浮かべた翔平だった。