DOLL†HOUSE
さ、最悪だ・・・。
遠山はこの時真っ先にそう思った。
翔平に関わると必ずろくなことがないとこれまでの経験から遠山はわかっていた。
「なんでこんなとこに翔平が・・・それに叉奈まで。
おまえら学校はどうしたんだ?」
最もな事を言う遠山。
「そんな事より、遠山さんもしかしてそれ、壊しちゃったの?」
遠山の肩に腕を置いて塊を指差す翔平。
「・・・七海警部には内緒にしといてくれ」
はあ〜と肩を落としながら遠山は言った。
「遠山さん、俺が親父に言ったりするわけないだろ」
優しく笑顔を浮かべながら遠山の両肩に両手を置く翔平。
その態度に遠山は翔平の背後に後光がみえたとか。
「し、翔平・・・」
じ〜んと感動していると翔平がただ、と口を開いた。
「俺をこの、今は立入禁止となっている屋敷に遠山さんが見張りの人にちょっと言って、入れてくれたら・・・ゆるーい俺の口も少しは硬くなるかなー」
今度は後光なんかじゃない、悪魔の笑顔を浮かべている翔平がいた。
(ほら、やっぱりろくなことがない・・・)
遠山は引き攣った笑顔をしながら、声には出さず思った。
その様子を翔平の背後から見ていた叉奈は心の中で一言
(遠山さん、ご愁傷様・・・そしてすみません)
いや二言、遠山へと言葉を送っていた。