DOLL†HOUSE
じっと叉奈を見ていた翔平だったが、やがて叉奈の頭に手を置いた。
「悪かったよ、心配かけて」
叉奈の方は見ずに言った翔平だったが、叉奈にはそれで十分だったようだ。
「・・・次こんな事があったら許さないから」
「ハイハイ」
やっと軽く笑った叉奈は、壁際にいた冠汰と白吏へと目をやった。
「冠汰君は大丈夫なの?」
「あ、うん。ゴメン、俺が大丈夫で」
翔平激Loveの叉奈。
今のように怒鳴られるかと身構えていたが、叉奈はキョトンとした。
「なんで謝るの?冠汰君が無事で良かったよ」
「叉奈ちゃん・・・」
じ 〜んと感動する冠汰。
「ところで叉奈、親父と母さんは?」
統一感のない呼び方だな。
心の中でそんなことを白吏は思った。
「お父さんは仕事中みたいで連絡がとれなかったの。
お母さんも連絡がとれなくて・・・」
「母さんも?」
二人の母親は専業主婦。
連絡がとれないなんて事は滅多にない。
「・・・それじゃあ翔平。叉奈ちゃんも来たことだし、俺ら帰るよ」
頃合いを見計らって白吏が口を開いた。