DOLL†HOUSE
はぁ、と溜息をはいた翔平はフェンスから離れると二人に近づいた。
「お前ら学校どうした?」
「「サボった」」
当たり前のように言い切った二人にやっぱりか、と思った。
「学校終わってくるんじゃなかったの?」
「そんなのどーでもいいじゃん!クラスメートがまだ二人行方不明中なのに授業なんて受けてられないって」
「ぶっちゃけ冠汰はテストが嫌だからってのもあったけど」
ピースをしながら言った冠汰の数歩後ろで白吏がボソッと言った。
「・・・まあいいや。で、白吏。さっきのどういう事?」
冠汰に冷めた視線を送ると、白吏に向き直った。
さっきのとは、白吏の言った言葉のこと。
「フェンス・・・落ちるはずがなかったって」
「・・・あのフェンス、数日前に錆びて危ないからって取替があったばかりだったんだ。
しかも、フェンスが外れた理由はネジがとれたから」
「錆びてボロボロだったならまだしも、真新しいネジがとれたりはそうそうないってことか・・・」
考え込む翔平。
−ポツ・・・
「ん?」
足元をジッと見ていた翔平は、アスファルトに丸く灰色の染みができたのを見て空を見上げた。
広がるのは曇天・・・雨が降ってきた。
「あやや、雨だよ・・・」
手の平を空に向けながら冠汰が言った。
「とりあえず、翔平。病室に戻ろう」
「そうだな」
三人は翔平の病室まで向かった。