DOLL†HOUSE
一人のナースが廊下を歩いていた。
向かいからは二人の制服姿の男の子が向かって来ており、すれ違い様軽く礼をした。
(今の子、確か翔平君の友達の白吏君だったわよね。
もう一人は帽子を被っててわからなかったけど)
「あら?」
「あ、山本さん」
人懐っこい笑顔を浮かべながらナース、山本のもとへ来たのは冠汰。
「こんにちは冠汰君。翔平君のお見舞い?」
「うん。うるさいって追い出されたけど」
むぅ、として言う冠汰にクスクスと小さく笑う。
「白吏君、先に行ってたわよ?」
「俺はちょっと翔平に用があって」
「そういえば、今日は一人多かったわね」
「あれ、俺の弟。翔平と仲良かったから」
「へぇ、弟いたんだ」
「うん!あ、じゃあもう行くね俺。バイバイ山本さん」
「さよなら」
手を振りながら去っていく冠汰にニコッと微笑むと山本は歩き出す。
「・・・ごめんね山本さんι」
去っていく山本に向かって、冠汰は申し訳なさそうに呟いた。