もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



慧斗は、飲み物買ってくると少し離れた自動販売機の方へ歩いていった。あたしは、その背中を見送った後、湖に視線を戻した。


波もなく穏やかな水面。鳥達が泳いでいたり、魚がいたり。


心、安らぐ。
ただ、何も考えないで柵に両肘をついて、湖をぼんやりと眺めていると、左目に激痛が走った。


「っ―――!?」


ガクッと両肘が柵から外れて胸を柵に強打してしまった。しかしその痛みより目の痛みの方が勝つ。


「ふ……ぅ……」


あたしは、ポケットから小さな四角い小物入れを取り出した。片目を瞑りながら小物入れから白い楕円形の粒を2つ、口の中に放り込んだ。


ごくっと強引に飲み込み、呼吸を整える。


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