もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「―――どうした?」
「っ」
バッと振り返ると手に飲み物を持った慧斗が不思議そうにあたしを見ていた。あたしは、慧斗に気付かれないようにポケットに小物入れを直すと、ぎこちなく笑った。
「何でもないよ」
「顔色悪いぞ?」
「そんなことないよ」
元気元気と笑うあたしをじっと見下ろしていた慧斗は、すっと腕を伸ばしてきた。反射的に固まってしまい、慧斗の手のひらはあたしの額に添えられた。
「………少し、熱いな」
「へ?」
「今日はもう帰るぞ」
慧斗は、ムッと眉を寄せると、飲み物をあたしに渡すなり歩き出す。
あ……バレてない。
良かったと息を吐く。
痛みも治まってきた。
「雪那」
「ちょっと待って」
あたしは、ハッとして少し先を歩く慧斗の後を追いかけた。