もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
手錠はされてるけど足は何もされてないから動こうと思えば動くことができる。
しかし、月は無理、と言った。
「ここは、出入り口は一つしかない………自ら食われにいくものよ」
「………よく、知ってるね」
「一度来たことあるから」
そっか、出られないのかー。
あたしは軽く息を吐くと、だらんと手錠で繋がれた手を足と足の間に置く。
あたし達の間に沈黙が続く。誰も来ないこの部屋での沈黙を先に破ったのは月だった。
「…………あんたは、慧斗のどこが好きなの?」
月を見ると、真剣な目だった。
あたしは、きょとんとしたあと、そうだなーと天井を仰いだ。
「優しい所、かな」
「………優、しい?」
「うん。後心配性」
優しくて心配性でいつもあたしを優先に考えてくれる慧斗。なんだかお父さんみたいだけど、どこか違う。