もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



その声にあたしはゆっくり目を開けてみた。


「………うそ、」

「嘘じゃない」


あたしは、目の前の光景に目が離せなくなった。
八人に攻撃されている慧斗は、相手の攻撃を巧みに交わしながら一人一人倒していく。
まるで、舞っているようだ。


いつの間にか、金髪以外は地面に倒れていた。


「チッ」


金髪は、戦局の不利を感じたのか、ポケットから手のひらサイズの折り畳みナイフを取り出した。


ギラリとナイフの刀身が光る。


「っ慧斗………」


あたしの声は驚くほど小さかった。


一対一で対峙する二人。


「有り得ない……有り得ないんだ……」


ポツリと、金髪が呟いた。


< 160 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop