もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「一先ず、ここから出ようか」
奏の言葉に慧斗は頷く。
「他は」
「後片付け中だよ、まだ」
慧斗は、あたしを支えて立ち上がる。傷だらけの月は、動くこともままならず遠矢に支えられてようやく立ち上がれたようだ。
「帰ろう」
「………ぅん」
体中が悲鳴を上げている。
手錠を取ってもらい、あたしは、一歩歩こうとしたが足に力が入らずその場に座り込んでしまう。
「雪那?!」
「ごめ……動けない……」
もう筋一本動かせない。
ハハッと乾いた笑みを浮かべると、慧斗は無言であたしの背中と膝裏に腕を回して抱きかかえた。
「わっ」
あたしは、驚いて反射的に慧斗の首に抱きついてしまった。