もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



嬉しそうに先生は頬を緩める。


「前までは、学校はまともに行っていたが、夜はふらふら、血だらけで帰ってくる毎日だったからな」


遠い目をしながら先生は言う。


「まぁ若いからな。俺はちゃんと成績さえ取ってくれてたら自由にしていたから……」


でも、あれは人だったとは言えなかった。冷たい目に無表情、笑うことなんか一切ない。


「我が息子ながら流石に化け物かと思った時もあったな」


それが、ある日から人の顔をするようになった。
表情を変えるようになった。


「雪那ちゃんを連れてきてからね」


無表情だった慧斗が笑みを浮かべるようになった。血だらけで帰ってくる事も皆無とは言えないが少なくなった。


それは全て、雪那と言う存在のおかげだと思う。


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