もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



「…………先生の言葉は、嬉しいけど、あたしには無理だよ」


耳が聞こえなくなるなら別にいい。でも目は、どんな場所より大事だ。
見えなきゃ、何もできない。


「雪那ちゃん………」

「あたしはね、誰かの足枷になるような人生は嫌」


もしそうなるならあたしは死を選ぶ。
例え、心が、魂が慧斗の側にあることを望んでも最後の最後、あたしはきっと離れる事を選ぶ。


だって、大好きな人には幸せであってほしい。
笑ってほしい。辛い顔は見たくない。


「雪那ちゃん、だが……」

「もうすぐ慧斗は卒業だよね。そしたらあたしもここから出ていくから」

「………」

「厚かましいお願いとは分かってるけど、それまでは学校にも行かせてください」

「…………慧斗が卒業したら、どうするつもりかな?」

「戻りますよ、前の生活に」


のんびりとタイムリミットまで。でもここじゃない遠くでひっそりと。


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