もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
[第十章] 夢
「実の姉に殺気向ける弟なんて慧斗ぐらいよね」
クスクスと笑いながら由紀子さんはあたしに同意を求めてくる。
あたしは、なんて答えたらいいのか分からなかったので曖昧に笑う。
「本当、どこで知り合ったの?」
「河原で……」
「河原?」
「慧斗の携帯拾って」
ベタねーと言いながら由紀子さんは楽しそうだ。
「そうだ雪那ちゃん。後で私の部屋に来て?」
「?」
「お話しましょ」
由紀子さんの提案にあたしは断る理由はないので頷いた。
手を引かれながら階段を降りていく。この時あたしは由紀子さんが右側であたしが左側を歩いているのに気がついた。
偶然だよ。きっと。