もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
その団欒に慧斗は加わらない。
黙々とご飯を食べている。
「不良の弟は最近は落ち着いてきたみたいね」
ピタリと慧斗の箸が止まる。
「………」
「雪那ちゃんのおかげみたいね」
ニヤニヤと笑う由紀子さん。
一度箸を止めた慧斗だったがまた食事を再開する。
「………アメリカはどうしたんだよ」
慧斗が食べながら口を開く。
「アメリカはあくまでも研究のため。あたしね、お父さんの病院で働くのが夢だったの」
「由紀子……」
「だから帰ってきたわけ」
楽しそうに語る由紀子さんに、先生は感激で涙を浮かべる。
娘にそんな事を言われて泣かない親はいないだろう。
「そーかよ」
「そういうあんたはどうなのよ」
今年受験でしょと由紀子さんは行儀悪く箸を慧斗に向ける。