もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
慧斗のお腹に手を回して、振り落とされないようにしっかりしがみついた。
それを確認するかのようにあたしの手を撫でるとバイクを走らせ始めた。
最初は少しびっくりしたけれど、頬をなでる風とか、バイクから見える綺麗な景色を目に刻み込む。
不意に、潮の香りがした。
そして、あたしの目に飛び込んできたのは、広大な―――――――海。
バイクは、いつの間にか海沿いに出ていた。
青い海に所々に浮かぶ船。飛ぶ鳥達。
「あ……イルカ?」
小さく、本当に小さくだけど、イルカを見た気がした。
ふふっと無意識に笑みがこぼれる。
今日は本当に良い日。
そして、今日を良い日にしてくれた慧斗と奏に本当に感謝した。