もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



………見てなかった訳ではなかった。


確かに考え事をしていたけど、考え事に集中しすぎて周りが見えなくなる程じゃなかった。


………見てなかった、じゃなくて見えていなかった……?


視界に、映らなかった。


あたしは、由紀子さんに手を引かれながらぞくりと背中に感じた。


先生が居ると言う書斎に連れてこられたあたしは、部屋の前で由紀子さんと別れると、二回ノックしてから中に入った。


部屋の中では机に向かいながら、世話しなく書類に目を通している先生の姿があった。


「先生」

「来たか……ちょっと待って」

「うん」


あたしは机近くにあるソファーに腰かける。


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