もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



「まさか逃げられるなんてな……誘拐されるし」

「誘拐されるなんて初めてだったよ」


そう言うと、何回も誘拐されてたまるかと頭を小突かれた。


あの時は、誘拐されたことより慧斗に怒られた方のが怖かった。多分、それは誘拐したあの人達が怖くなかったからだと思う。


「お前が居なくなってこっちは生きた心地がしなかったがな」

「………鬼みたいだったね」


ポツリと聞こえないように呟いたはずだったけど慧斗の耳にはしっかり届いていて満面の笑みを向けられた。


目が笑ってないよ……


「何か言ったか?」

「いぇ……何も」


ハハハッとあたしは笑って誤魔化した。


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