もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
他は何も持っていない。
「………慧斗には言ったの?」
月の言葉に肩が震える。
「………言ってないよ」
「今からでも遅くない……雪那」
「言ったでしょ、月ちゃん」
月の言葉を遮り、真っ直ぐ月を見る。しばらく睨みあうように見つめていると、先に月の方が折れた。
「………乗りな」
ひゅっとヘルメットが飛んできた。
それを危なげに受け取り、あたしはヘルメットを被った。
………月ちゃんもバイク乗るんだな。
慧斗達が持っているのと同じくらいにカッコイイ大型、月がエンジンをかけると響くエンジン音。
あたしは、月の後ろに乗ると細い腰に腕を回す。