もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「馬鹿」
「ごめん」
見上げると呆れたようにあたしを見下ろす慧斗がぼんやりと見える。
「気をつけろ………もうお前だけの体じゃないんだから」
「………うん」
慧斗の言葉にあたしは頷いた。
5年の月日が経った。
あたし達は、二人アメリカにいる。
慧斗がアメリカの大学に留学中だから。
5年は長いようであっという間だ。
「慧斗、これから、どうするの?」
あたしは椅子に座りながら、朧気にしか見えない慧斗の姿を探す。
この5年であたしの視力は低下し、もうほとんど見えなくなってきた。
それでもあたし達は一緒にいる。
「あぁ……残ることに決めたよ」
今年、大学を卒業したばかりの慧斗はアメリカに残らないかと研究所から誘いが来ていた。