もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



むくりと起き上がった大吾と呼ばれた少年は、ギンッとあたしを睨んできた。


「あんた、どうやって付け入った?」


明らかな敵意を向けられる。
あたしの後ろの人の雰囲気が少し変わったけど、あたしは気にしないで大吾を見つめる。


敵意を向けられているのにあたしは何故か嫌な感じはしなかった。


きっとこの人は心配してるんだ。慧斗を。


「あたし、慧斗の声に惚れたの」


ニコッと笑う。


「………は?」

「声に、ね?」


慧斗に同意を求めるように上を向けば、そうだな、と返ってきた。


あ、勿論恋愛感情じゃないけど。


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