もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



「………そうか」


慧斗は薄く笑みを浮かべるとあたしの頭を撫でる。


されるままになりながら、右目が痛んだけれど気にしないで体重を慧斗にかける。


どれくらいそうしていたか、慧斗に抱かれながら、神楽や遠矢、奏と時々大吾と他愛もない話をする。


「慧斗、時計」


ふいに奏が言葉にする。
慧斗に言ったのに、あたしも自然と時計に目を映す。
時計は、七時を指していて、ここに来てから五時間くらい経っていた。


「時間だな」


慧斗はあたしを立たせると、バイクの鍵を取って立ち上がる。


「じゃあ、また明日だね」


神楽がニコッと笑いながらあたしを見上げた。


「雪那はどこの学校だ?」


遠矢がふいに聞いてきた。


< 36 / 287 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop