もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
[第三章] 相沢家
あたしは、目の前の豪邸に言葉を失った。
「……ここは……」
「俺の家」
俺の家………なるほど、奏がお金持ちって言ってたのはこれか……
なんか総理とかの家よりも凄いような気がするよ。
「雪那」
「なんであたしを連れてきたの」
バイクを直した慧斗に聞くと、慧斗はとりあえず中はいるぞと歩き出す。あたしは渋々慧斗の隣を歩きながら、初めて見る豪邸に緊張を隠せない。
一刻も早く、立ち去りたいよ……
キョロキョロしているといつの間にか玄関前にいて、慧斗は、苦もなく大きな扉を引いた。
「お帰りなさいませ」
あたし達を迎えたのは一人の燕尾服をきた初老の男の人。