もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「そうだ」
「あたしに拒否権なんかは……」
「ない」
「ですよね………」
はぁ、とあたしは肩を落とした。
これは誤算とも言える。
あたしのシナリオにはこんな展開は全くなかった。
ただ毎日のんびりときれいな景色を探す旅をする。勿論一人で。
………時がくるまで。
「………大きい家だね」
決定事項なら仕方ない。
あたしは諦めだけは早いから。
「親父が建てたからな」
「お父さん何してるの?」
「医者」
「………そう」
長い長い廊下を歩きながら他愛もない話をする。
家族構成だとか、家のこととか。
家族のいないあたしにとってはどれも新鮮な内容だ。
「………ここが俺の部屋」
ガチャンと音を立てながらドアを開く。