もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



温かいご飯に味噌汁に卵焼きにおひたし。ありふれた和食のメニューだけれど、あたしにとってそれは初めてみるもので。


こんな近くにも綺麗なものはあるんだ、と思った。


それにしても、


「朝ご飯なんて初めて………」

「……何だと?」


あ、とあたしは慌てて口を手で押さえる。心の中で呟いたつもりだったのに言葉に出していた。


………視線が痛い。


横を恐る恐る見てみると凄い形相であたしを睨みつけてる慧斗。そしてその斜めに、同じようにあたしを睨みつけてる先生。極めつけに……


「雪那ちゃん。しっかり食べて?」


トンッと満面の笑みで大盛りのご飯をあたしの前に置いたお母さん。


皆、怖いよ……


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