もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。



「………行ってきます」


行ってきます。なんて今まで言ったことなかったよ。


「雪那、行くぞ」


慧斗が促してくるので、あたしは、頷いた。


あたし達が家を出ても玄関で手を振りながら見送ってくれている静音さんに、本当じゃないのに、自分の本当の母親のような感じを抱いた。


ギュッとお弁当を抱きしめる。


「ねぇ慧斗」

「なんだ?」

「温かいね」


温かい。全てが。


「………そうだな」


諦めていた。受け入れていた。


だけど少し、少しだけ………このままがあたしの時間が止まればいいのにと思った。


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