もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「あ、携帯ですね」
何となく敬語。
絶対あたしより年上だと思う。
「あ、ありがとう!ほら慧斗!」
彼は肩越しに誰かを手招きする。
「あ?」
「慧斗のなんだから取りにきなよ」
ついでにお礼も、ってお礼がついでなんだね?
「ちっ、わかったよ」
慧斗って人の声を聞いたとき、小さく胸が高鳴る。
さくさくと音を立てながら近付いてきた彼に、あたしは目が離せなくなる。
「携帯、見つけてくれてサンキュ」
黒髪の、長身の少年。顔はモデルみたいに整っていてモテそうだけど彼が纏う雰囲気は誰も近づけないものだ。
一匹狼みたい。
ていうか、顔より、雰囲気より……
「あ?おい、聞いて「スッゴいいい声してますね!!」
ガバッと立ち上がってあたしは彼に駆け寄った。