もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「さて、」
一人になったあたしは、慧斗に連絡しようと携帯を取り出した。携帯には、奏に貰ったキーホルダーがぶら下がってる。
カチカチと慧斗の番号を呼び出した。
通話ボタンを押せば繋がる。そっと通話ボタンに指を当てると近くで子供の声がした。
「あー風船ー!!!」
声がする方をみると、びえぇんっと泣きながら空を指差す子供を親があやしている姿が目に映る。
そして、空を見上げると、子供が離してしまったのだろう、風船が空高く飛んで行こうとしていた。
………空、綺麗……
オレンジがかった空に風船。風情がある光景に見えた。
「こんな景色を見られるのはいつまでかな………?」
その言葉を口にして、あたしは、今の自分をかえりみた。