もし明日が見えなくなっても切ないほどにキミを想う。
「そうですねー……」
ははっと乾いた笑みを浮かべながらあたしは立ち上がった。
「それじゃっ」
金髪の男に軽く頭を下げてあたしは早々に立ち去ろうとする。
しかし、ガシッと手首を掴まれて、足止めを食らった。
「君、片目色違うねぇ?」
あたしの手首を掴みながら金髪が立ち上がる。あたしの目をのぞき込むと、にこーっと効果音がつきそうなくらいの満面の笑みを向けられた。
「っ」
「黒龍って族知ってる?」
黒龍……慧斗の族。
「し、知らないです」
「最近ねー俺達の間で噂があるんだー」
ギリッと手首に力を入れられ、眉を寄せ振り払おうとする。
痛いって知らないって言ってるのに!
「離して、っ」
「あの黒龍の総長に女が出来た………片目の色が違う、ね」
「っはっ」
刹那、腹部に衝撃が走った。目の前が一気に暗くなる。
意識がなくなる最後に見たのは勝ち誇ったような金髪の顔だった。