LOVE☆PIECE
キィ


錆びたドアを開けると、新鮮な風が髪をなびかせる。


一つ息をはいて


人がいないことを確認すると、貯水タンクの裏側に隠れるようにしてもたれる。

やっぱ、息抜きと言えば屋上よね~…


遥香もいないし、今のうちに

久々の校内一服を楽しもう



ふぅ、

細い煙が暮れかけた夕空に上っていく。

それを見ながら、何となく思い出す。

さっき、練習するからと別れた遥香の照れた顔。


なんだかんだ言っちゃって

明日の初本番に緊張して予行練習、なんて遥香らしい。


ふふ、


口元に自然と笑みが浮かぶ。


遥香と一緒にいるようになってまだ半月だなんて、

信じらんない。


私が他人を受け入れる?なんて。


ここまで気を許すつもりは正直なかった。



< 93 / 120 >

この作品をシェア

pagetop